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アメコミとか映画の感想

「地獄でなぜ悪い」感想

繰り返し観たのに発作的にまた観たくなる映画がある。園子温監督の「地獄でなぜ悪い」もそんな映画の一つ。

 

何度観てもやっぱり面白い。とにかく出てくる奴らがことごとく、己の欲望の為なら他人が何人くたばろうが屁とも思っていない。現実にいたら近寄って欲しくない奴らばかりだが、画面越しに眺めている分には愉快なことこの上ない。

以前、コミック「サノス」の感想でも書いたが、フィクションに浸ることの醍醐味は現実世界の道徳から解き放たれることだ。どんなに憎い奴でも殺しちゃダメ。ましてや己の欲望の為に他者の命を犠牲にするなど以ての外。当然のことだ。

でも、だからこそ、映画の中でヒトの首が冗談のようにポンポン吹き飛んでいく様は爽快極まりない。銃撃戦が始まると、どいつもこいつも必要以上の弾丸を撃ち込まれて肉塊と化していく。この件りはいつ観ても爆笑してしまう。

 

撮影が終わる頃には、スタッフも「役者」も全滅。だが監督は走る。まだ編集して、映画を完成させ、客に見せる仕事が残っている。

 

「カット!」の声がかかり、走り終えた長谷川博己の息が弾んでいるのは演技ではないのだろう。そんな所に実写映画の醍醐味があるのかも知れないと思う。